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2026/7/16


精神薬の発見以前、患者は
どのように治療されたか
                 終

H.S.サリヴァン(米、1892-1949)
『現代精神医学の概念』 を読む
中山久夫・山口 隆、共訳

1976年 みすず書房

第5講 治療概念

 治療の流れは、初回面接、外来治療か入院か、退院を目標と出来るか、である。抗精神薬が無い時代のことであり、限界についても述べている。
 「精神医学的治療の過程は、人格の成熟、すなわち、成人らしい対人関係を結べる能力の発来、を含むものである。その達成を阻む障壁が実際上到底越せないものである場合、あるいは、その他の要因によって必要な手順を踏めない場合は、治療を目標とせず、たかだか現状よりもよくすることを目標とするべきである(訳文のまま)」。
 精神病院について、「近代における管理中心の精神病院は、主として、(南北戦争で看護師を勤めた)ドロシー.リンド.ディックス女史(1802-1887、ME)の超人的なエネルギーによって生まれた(訳文のまま)」としている。一方、サリヴァンは、連政府立のセント、エリザベス病院(WA)や、私立のシェパード・アンド・イノック・プラット病院(MD)で治療中心の診療をした。後者では多くの精神分裂病患者に対し治療を行った。治療方法としては、面接、作業療法、水治療等が挙げられている。現在の環境から切り離すことも効果ある治療法とした。
「精神病院に対する公衆の疑いの眼は根深いものがあるので、患者の入院後、早速入院が必要な理由を文書にしておく必要がある」、「精神病院はより広い社会と地域社会的なつながりを保ってはいるが、精神病院の構造そのものは無階級であって垂直移動は許されない。わずかな数の明文化された規則により外部からの干渉なしに運営される社会組織である(訳文のまま)」患者は病状の類型ごとに分類され、訓練をうけた少数の職員により管理される、等々。日本の初期の精神病院の成り立ちは外国を参考にしたものか。

【サリヴァンの生きた時代(1892-1949)前後の精神医療の歴史】
アメリカ
1808:ニューヨーク病院精神科病棟設
1861-1865:南北戦争
(1905~ G.シュビング. スイス. 看護師・精神療法家
「精神病者の魂への道」統合失調症への心理的アプローチ)
1908:ピアーズ(1876-1943)CT「わが魂に会うまで」
1914年:~1918第一次世界大戦
1917年:アメリカ作業療法士学会設立
1920年代~:ソーシャルケースワークの分野では、ハミルトン(NY)診断主義アプローチ. パールマン(IL.CHI)問題解決アプローチ等、当事者主体の支援法が進む。
1950年代: 州立の精神科病院増えは205-300施設,入院患者数は50万人以上。とされる。多くの精神病院が患者を収容し、虐待や粗雑な対応の場となった。
1964:ケネディ教書が出される。
    脱精神科病院を進める。地域での準備が無く、退院後生活できない患者が出て問題。

アメリカの医療制度では、日本と同様に精神科と身体科は別れているが、プライマリケアの段階で統合の動きがあると聞く。

日本/長野県
1879(M12):松沢病院(東京)
1886:東京大学精神科開設。初代教授榊俶
1900(M33):精神病者監置法
1918(T7) 呉秀三『精神病者私宅監置の実況及び其統計的観察』
1919:精神病院法.私宅監置の禁止
1922(T11):持続睡眠療法
1930(S5):県初の精神科病院.敦賀脳病院(長野市)
1932:松岡病院開設(松本市)
1937:インスリン療法(オーストリア)
1939(S14):電気けいれん療法(九州大)
1949(S24):信州大学精神科開設(西丸四方初代教授)
1950:精神衛生法(昭和25年)
1951(S26):県立駒ケ根病院
1952 : クロルプロマジン使用(仏から)
1955(S30)-1970:精神病床数、25万まで急増
1964(S39):初代全国精神障害者家族会結成

参考:矢口修。日本の精神医療と世界の動き. 松本市ゼロポイント会合資料。
用語について、現在では使われないことばについては、原文のまま使用した。
終わりに:難解であるが、訳本により、些少であるが、100年前の医療に近づいた。薬物で治療できない頃に、生育や社会環境が引き金になって精神障害を発症した患者を理解し、対話による治療があった。




2026/7/1

抗精神薬の発見以前、患者はどのように治療されたか ⑤

H.S.サリヴァン(米、1892-1949)
『現代精神医学の概念』 を読む
中山久夫・山口 隆、共訳

1976年 みすず書房

第4講 説明概念

この講は、患者の安心、不安に筋緊張の変化をともなう、という生理学の話しから始まる。
中井によると、サリヴァンは元来物理学が志望であり、面接のときの患者の筋緊張を測定する機器の開発にも取り組んでいた。心身医学の概念は1930年代にはすでに持っていてそれに基づいて診療をしていた。心理的緊張と身体的緊張の関連に触れている。   
「精神医学は対人関係」であることを説明しながら模擬患者を登場させている。

 A博士に分裂病と言われて紹介されてきた父親に付き添われた青年である。「父は私の行動が変だと言いました」「皆が自分を見つめるので、それが嫌で家にいたかったのです」
患者は医師とわかりあえる関係をつくり安全感を得るか。主訴について、「どうして人は君をみつめるの」、「知らない人が見つめるのか」、「知っている人が見つめるのか」と話しかけながら、患者の持っている、他者との対人関係の病理を洗い出すことを心掛ける。<先生にも自分の確信を分かち合ってもらいたい>、と望む患者が安心感を持つか、医師に対して深刻な疑念をもつか、に双方とも不安をかかえつつ、診察関係は進む。二人の関係の中で患者は<医師も自分と同じようなジロジロみられた体験を持っている>、という思い込み(サリヴァンはパラタクシスという)を持つことがある。医師が<人が君をジロジロ見るその理由がわからないね>と言ったとする。患者は、医師は自分と同じ経験を持っていない状態で自分の主訴を受け止めているという安心感を得る。診察治療の場はすっきりしたものになる。逆に、医師は自分をあざむこうとしている、と考えてしまえば、面倒な診察になる。二人の関係は慎重に注意をはらいつつ着地点を探りながら慎重に注意を払って進められる。厳しい診療である。
 サリヴァンが基礎にしている考えは、< 人は文化への同化過程で体験してきた不利、を乗り越え、自分の精神的健康をめざし前向きにすすむものである >である。




「精神科医は患者の聴き手に回った時、必ず自分が今、<概念としての ’私’、概念としての’あなた’>が主役を演じる言語活動に参加していること、したがってそこには、現在までその人の対人関係に歪みを与えてき、また、今後もその人の対人関係にまつわってゆくであろうさまざまな要因があらわれていることをわきまえていなければならない(訳文のまま)」。
「人間というものは一人一人が独自な存在であるという以上にみな同じ人間です」。「どのような悩みを持つ患者であろうとも、患者は大体のところ精神科医とおなじような人間である」
「人格というものは<文化への同化過程>による種々の不利を埋め合併せながら、自分の精神的健康すなわち対人的適応成功の状態を目指して進む強い傾向を持つ。生物は基本的に前向きに進む方向性をもつものである(訳文のまま)」。


「サリヴァンの臨床は、非常に多義的なものを、鋭敏に、そしてほとんど幻覚のように感覚的に把握する能力の上に成り立っていたと思う。彼がアンテナ感覚alertness、といって、臨床家はこれを磨かなければならないというのもそういう意味だろう。だから、彼は自分の分裂臨床をついに言語ではいいつくされないものといわざるをえなかったのだろうね。また、ひどく疲労する臨床だったらしい。新患を一人診た日は、自宅への階段を昇る気力を出すのがつらかったらしい(中井の解説文のまま)」

参考:中井久夫 : サリヴァンを読む 6, サリヴァンの著作⑤,著者と講義集. 
精神治療学2(3),497-502,1987.

2026/6/25


【 長野県は2026年4月1日発で福祉医療制度に改定を加えた 】

精神科入院について : 
保険診療の自己負担分を福祉医療制度の対象として、助成する。
対象は、精神保健福祉手帳1級所持(所得制限なし)、2級所持(所得制限あり)。

自治体毎の裁量で実施することは認められる。

  これに基づき、精神科入院への医療費助成を行っていなかった自治体は実施する旨をHP上で公表。多くの自治体では2026年8月から実施するとした。
しかし6月25日時点で、HP上で公表していない自治体は残る。
理由はそれぞれ予想される。自治体内に精神科入院患者がいない、HPの更新が行われていない、など。自治体の職員数の減少も最近問題とされている。
危惧されるのは、行政側に、この制度を行う意志が無いことである。市民として、今後の行き先きをみること、あるいは自治体担当者に質問をすること、で対応が必要か。行政側の説明のなかで、確認したいことがある。県において、1970年代から続けられてきた制度検討の過程で、なぜ精神科入院が対象とされなかったか、”ことば”としてわかることがあるかもしれない。
【参考】
*人口:令和5年版長野県衛生年報 
  人口動態総覧,保健所・市町村別
*市町村毎精神科入院患者数: 
  ReMHRAD : 2024年度 630調査から. 
  2024年6月30日時点で精神科病棟に入院し
  ている患者の数.



【公式HPに制度改定を記載していない市町村】	
人口    精神科入院数
           (統合失調症・統合失調 
               症型障害・および妄想性障害)


阿智村 5,880名   6(2)名
阿南町 4,125     7(6)
飯島町 8,788     7(2)
飯田市 95,934     121(83)
飯綱町 9,997     21(10)
飯山市 19,939     36(15)
売木村 519     2(2)
大鹿村 969     0(0)
小川村 2,163     11 (8)
小布施町 10,641     11(5)
栄村 1,557     1(0)
信濃町 7,464     18(8)
喬木村 5,749     8 (5)
高森町 12,750     17(11)
高山村 6,395     7(4)
辰野町 18,048     25(9)
天龍村 1,106     4(2)
豊丘村 6,304     8(1)
根羽村 845     2(2)
野沢温泉村 3,117    2(2)
平谷村 381     1(1)
富士見町 13,974    14(9)
松川町 12,320    17(7)
山之内町 10,847    23(9)

2026/6/21


抗精神薬の発見以前、患者はどのように治療されたか ➃

H.S.サリヴァン(米、1892-1949)
『現代精神医学の概念』 を読む
中山久夫・山口 隆、共訳

1976年 みすず書房         


第三講 発達症候群

「われわれのいう<発達症候群>のうち第一のグループはほぼ一般の人たちの生活歴の延長線上にある。これに反して第二のグループは、生活史上一般人の方向からズレる時が、少なくとも一時的にある。つまり第一のグループは人格についての診断にもとづいてたてたものであり、第二のグループはこれとちがって人格の障害の診断にもとづいてたてたものである。実際第一のグループは発達段階のどこにいるかが問題であるが、第二のグループにおいては、発達段階という因子ばかりでなく、それに混じって、その人の、他者と共同体をつくるあり方があれこれと変わる点が問題となる(訳文のまま)」 
発達症候群の第二のグループはさらに10種の症候群を含む。しかしこれも一部を表すにすぎず、対応する人の数だけ異質なものが示されるとする。1,精神病質人格:持続性のある対人関係を持てない、2.自己耽溺者、3.矯正不能症候群、4.拒絶症者(あまのじゃく)、5. 吃音者(ことばを発することが出来ないが発する努力を人に見せることにより相手を金縛りにする)。当時でも吃音への差別であったと思われるが、中井の解説では、サリヴァン自身が吃音であったと考えると説明できるとしている。
 
続く5つの症候群は、6.野心一本槍、7.交際嫌い、8.あなたまかせ型、9.同性愛(異性嫌い(差別的な誤解を招くとして他の言葉を欲している。幼少時期の体験の結果として異性とのかかわり合いを持つことを妨げる障壁がつくられてしまった人間に限る。およそ100年前、現在のような府k雑な性認識の個人差は明らかでなかった時代、10.長引いた青春期。


「ここで個人のおかれている場を診断する上でもっとも役に立つように症候群をまとめるとすれば、それは対象とする人間の生活歴を過去、現在、未来にわたって記述するものでなければならないことがますます明らかとなってきた。そして、ここでいう生活歴とは、過去、現在、未来におけるその人の、他の人々の生活とのかかわりにおいて生じる出来事の連鎖にほかならない(訳文のまま)」
「精神医学を新しい観点からみれば、いま述べたような内科的診断と平行したやり方をしてはならないことがわかる。たとえ、患者やその家族が科学的な病名を知りたがっている場合でも、われわれがこれまでやっていたように、重々しく不治の精神病であると宣告する終末論者のようなやり方は断然止めるべきである。そのような態度でわれわれは人間仲間、たとえば精神病院に収容されている大勢の慢性患者を分類してきたのである。あの慢性患者たちが精神病院の中にいるにはそれ相応の理由がある。けれどもその人たちにレッテルを貼って喜ぶような態度だけはぜひつつしみたいと思う(訳文のまま)」

中井の解説では
「発達症候群とは異常性格論と普通いうところを、サリヴァンは差別的な用語に敏感であった。それで彼独特の分類でなるべく日常用語を使った。しかしこの発達症候群はまったく日常に流布しなかった。サリヴァンもその後発展させていない(解説文のまま)」
 患者が表す状態は数え切れず、これらの症候群は一部に過ぎないが系統化して患者の背景をみるための分類としたことに言及している。

参考文献:中井久夫 : サリヴァンを読む5, 著者と講義集. 精神治療学2, 306-307, 1987.

診断学との関係:
DSM:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (精神疾患の診断・統計マニュアル)
アメリカ精神医学会により1952年に発表される。サリヴァンの論文を参考にされたとされ、現在まで続く精神診断学の基礎を作っている。

症候群:1から5番の症候群について。
覚えていただきたいのは、以上5個の症候群がすべて人格発達上初期の段階に原因があるということである。すなわち、言語活動が大部分相手との交流を意図しない自閉的なものにすぎなかった時代に由来していることである。これら成長の歪みは両親とこども,教師と生徒などの間の言語的コミュニケーションの歪の結果ではない(訳文のまま)」

後半6~10番の症候群について。
「これまでに述べた5つの症候群(1~5までの症候群)よりも<文化への同化過程>がそのように拡大したあとで起こる発達の歪の現れである症候群のほうが、はるかに複雑である。今度はそれらを簡単なものから複雑なものへという順序で語ってゆきたい。この順序はおのずと対応する発達段階の順序となる(訳文のまま)」。





  

2026/06/16


抗精神薬の発見以前、患者はどのように治療されたか 

H.S.サリヴァン
『現代精神医学の概念』を読む

中山久夫・山口 隆、共訳


          



サリヴァン 
(米、1892-1949) 

第二講 

  生物体としての人間とその

    必須環境
 一つのセンテンスが長く、繰り返しが多い文章で解りにくい。翻訳することがいかに大変だったかと思う。読みにくさは解釈を間違うかもしれず、難しい文章であることを意識して読む。

 「われわれの国の人間の圧倒的大多数にとって前思春期こそ、心の平和を乱されない人間らしい生き方に一番近づく時であると私は思っている(訳文のまま)」

 対人関係に躓くとき、意識にのぼらない衝動性が作用して不利な状況をつくりだしてしまうことを述べていると解釈した。例えば、昇進を求めて、厳しい上司から7面接をうける二人の部下がある。一人は面接により傷つき、他の一人は面接により傷つくことは無く終了する。

「もし権威的人物による辱めなどの迫害を惹き起こす衝動が自分の中にあることを自覚するならば、その人が安全感と自尊心をもつことが非常にむずかしくなることはおわかりになるだろう。この種の衝動は決して珍しいものではないので、皆さんの中にはいくらかはそういう衝動をもっている方がおられるにちがいない。そういうかたにはきっとわかっていただけるだろうと思うけれども、傷ついたとき自分はかなり危険な人物になるのだという事実を臆せずにはっきりと自覚出来るときは滅多にないものである。この種の事柄は発達の過程で(自己)から解離され、先ほどの例でいえば、上司に昇進を申し出る直前の二人の部下のような状態になるのである(訳文のまま)」
*自己から解離される=衝動性があることを自分の感情から切り離し自分で自覚しない。
中井久夫による第2講の解説参考するとサリヴァンが、アイルランドで祖父母に育てられたこと、神経症的で完全であることにこだわる性格であったこと、同性を養子としていたこと、など特異な生涯を説明している。一般読者にはそのことが業績にどのような影響を与えたかを判断することは困難である。抗精神薬の発売以前、精神科医療が患者に向けられた患者の尊厳を中心に置いた医療の内容を拾ってゆきたい。
 生物体としての人間を、卵子、胎児、新生児、幼児、小児期/学童期、前思春期、思春期、としている。エリクソンやハヴィガースト等、心理学者のいう壮年期~老年期の分類は無い。前思春期とは15歳前後かとする。
「サリヴァンは結局、対人の場に関連して衝動を定義することは中止して、実例を揚げようとする。これもなかなか複雑な例で、本で読んで欲しいが、結局、自分の中に権威的人物の憎悪性を呼びさますような衝動があることを安全観と自尊心を持ちにくいから、そういうものは『自己』から解離される。こういう人が前思春期に達するとどうなるか…(中井の解説原文のまま)」

参考文献:中井久夫 : サリヴァンを読む4,著者と講義集. 精神治療学1,691-697, 1986.

2026/6/10


「子どもの医療費窓口無料化は軽症者の受診を増やす」

 南信地区の、ある市の市長の発言である。「窓口の完全無料化によって軽症者の受診が増え、医療従事者の負担が増す懸念などを指摘」

       (信濃毎日新聞記事 2026/6/4)

 もちろん、市長は市政を守る立場で、制度を安定的に維持する必要性を考え、国への制度を要望をおこなうと説明している。

 このフレーズは厚労省がまだ厚生省であった時代、「こどもの医療費を助成することは不要な受診を増加させる」とネット上にも見解として載せていた。いつのことかははっきりした記憶はないが30年以上にはなる。学術的な根拠が不明のまま固定した認識が延々と続いていることに驚く。
 助成については必ずしも賛成の住民ばかりではなく、様々な意見への対応に苦慮する立場も理解する。市町村財政の困難は市民としても気がかりではある。高齢者施設の閉鎖、民間委譲が続く。介護中の夫婦、親子間の殺人も痛ましい。住民のための温泉施設など福利厚生施設閉鎖の知らせも多い。
 社会保障も経済活性にも尽力を願うが、政治家としてどのような理念に基づき弱い人の立場を守るりつつ伝えるかは検討する必要がある。
 「子どもの医療費窓口無料化により軽症者の受診が増える」との認識は「精神科入院費に福祉医療制度を適用すれば入院が長くなる」、「生活保護ー社会福祉事務所ー水際対応、の連想」など「援助することは損」との考えを当たり前にする危険がある。援助は豊かさにつながるための社会の仕組みであるはずである。
 *「精神科入院費助成実施が入院を長期化させる」ことは否定済みである。

 様々に使われている「窓口無料化」という意味がわかりづらい。受給者自己負担金のことと理解してまとめておく。
 小児医療費については、長野県では1970年代から福祉医療制度の対象として年齢や助成内容が市町村ごとに段階的に拡充されてきた。県民や関係者による粘り強い請願運動があったと聞く。2002年には、国の少子化対策として小児診療費自己負担は成人と同じ3割から2割に引き下げられている。現在県の状況は以下である。
 小児医療費は18歳まで保険診療2割、福祉医療制度が適用され入院、通院とも助成され、窓口での支払いは無い。入院食費への助成の有無は市町村によりさまざまである。
 小児に関わらず障害者など福祉医療制度を利用して医療費助成を受ける場合は、受診した月に500円の自己負担金を医療機関に支払う。この自己負担金が小児の場合0~300円~500円/1レセプト/1月と市町村毎に異なっている。
 0円にしない市町村にはそれなりの方針があると思われる。兄弟が多い家庭、両親以外と暮らしている子どもなど、負担が苦しい人には支援すればよい。住民が不公平感を訴えたら説明し話し合えばよい。

2026/6/6


現代精神医学の概念

【目次】

序     1946年記
第一講   基本概念
第二講   生物体としての人間と
          その必須環境 
第三講   発達症候群
第四講   説明概念
第五講   治療概念
対人関係と人格発達の理論   
       パトリック・ムラハイ
訳者あとがき

抗精神薬の発見以前、患者はどのように治療されたか ②

サリヴァン
 
(米、1892-1949) 

第一講 

基本概念:

 「 皆さんの中には精神科医のものの考え方にあまりなじまれていない方々もおられると思うので、その方々のために、まず、精神科医のものの見方は人によって相当違いのあることをいっておきたい。精神科医には三つの類型がある。まず、(精神的な過程はすべて二次的現象にすぎない)とする人たちがいる。次に、(「精神障害とは生物学的劣格性か魂の劣格性のどちらかだ」と決めつける人たちがいる。しかし幸いなことにそのような人たちばかりではなく、そのほかに、(精神の世界は、大部分未開拓ではあるけれども、とにかくれっきとした科学的妥当性をもつ一分野である)と考えている精神科医もある(訳文のまま)。」
  
序文:

(序文には本の構成が説明されている)
5回にわたる連続講義をまとめた内容である。4年間のワシントン精神医学校と共同研究を行いながら、サリヴァン自身はチェスナット・ロッジ病院で、多数回の講義、討論、臨床研究セミナー、教育セミナーを実施した、とある。

 「 精神医学は現在のところ既成の精神科専門医だけの専有物の観があるが、その現状は科学などでは無論なく、技能ですらなく、ただもう混乱そのものである。私はそこで(精神医学は対人関係の学問である)と定義することによって混乱を除き、精神医学を専門的訓練を要する一つの領域としてその範囲を画定できはしないかと考えたのである(訳文のまま)。」

2026/6/1


サリヴァン
日本の精神科医師との関係:

翻訳に携わった医師:
 
「精神医学の概念」:中井久夫(1934~2022)
          山口 隆(1930~ )
「精神病理学私記」:阿部大樹(1990~ )
            等

概念を日本の精神科医療に反映させた
精神科医師:


島崎敏樹(1898年 - 1975年)
内村祐之(1897年 - 1980年) 
宮本忠雄(1921年 - 1996年)
松本雅彦(1937~2015)

抗精神薬の発見以前、患者はどのように治療されたか ①


サリヴァン
(米、1892-1949) 

ハリー・スタック・サリヴァン.1892年-1949年. アメリカの精神科医.
クロルプロマジンの発売(1952年)以前に精神科医療を行う。

 オープンダイアローグに参加することにより患者の思考が統合され、治療法の一つとなっている。神経伝達など脳細胞レベルでの科学的な根拠が推察されている。
 抗精神病薬以前の治療は、電気けいれん、インスリン療法、ロボトミー、その他さまざまな民間療法であった。混乱のなかで、サリヴァンは対話と対人関係により患者と接してきた。精神分裂病には何らかの外因が作用していると考え、心理療法や対人関係を重視した。その道筋は科学的根拠が推察される点で現在の治療法に通じる。(病名変更前にて分裂病が使われている)



H.S.サリヴァン

現代精神医学の概念

中山久夫
山口 隆
 共訳



1976年 第1刷
1984年 第6刷

A5変型判 349頁+事項索引20

みすず書房
東京

2026/5/17

NOTO
高名な精神科医師はどのように薬を治療に用いたか 1-7.
の参考にした文献、講演等
・斎藤環『集中講義 中井久夫 心の豊かさを読む』NHK出版, 東京,2025. 
・松本雅彦『日本の精神医学この五十年』みすず書房, 2015.
・中井久夫『「精神治療学」掲載著作集 臨床医の眼差し』星和書店, 2022
・日本臨床精神神経薬理学会専門医制度委員会(編)『臨床精神神経薬理学テキスト』星和書店, 2021.
・J.モンクリフ(著)石原孝二ほか訳『精神科の薬について知っておいてほしいこと―作用の仕方と離脱症状』日本評論社, 2022.
・日本神経精神薬理学会・日本臨床精神神経薬理学会編:統合失調症薬物ガイドライン2022.
医学書院,東京2022.
・中井久夫「薬物使用の原則概要」
『精神治療学』13(6), 673–679, 1998 .
・中井久夫「抗精神病薬の使用戦略試論」
『精神治療学』1(1), 5–22, 1986.
・中井久夫:医療における合意と強制. 精神治療学3: 17-23,1988.
・渡辺博幸「精神科薬物療法のアウトカムとエンドポイント」
『精神医学』67, 984–989, 2025.
・白石弘巳(なでしこメンタルクリニック院長、東洋大学名誉教授)
「精神医学、精神科医療と家族会の60年~その先にみえているもの~」
「精神障害者家族会全国組織結成60周年記念大会講演」2026年3月12日 東京、四谷ホール.
・小板橋律子「統合失調症、新常識をキャッチアップせよ」週刊日経メディカル(2023).
・糸川昌成:統合失調症 日本医師会雑誌151巻 特別号 精神疾患診療 S188-191p,2022.

2026/5/17

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか 7.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 臨床医の眼差し 2022年より
「薬物使用の原則概要」 1998年


項目19. 漫然大量療法からの離脱
 もし、紹介患者が漫然大量療法を受けている場合にはおおむね1年にわたる減種計画を樹てるべきである。どれが不可欠でどれが消去可能であるかを推定しつつ、単純、有効、服薬感覚良好の処方に達するにはそれでも足りない。そのような患者はしばしば中医学でいう虚実混合状態に陥っていて、その修正にも多年月を要する(原文のまま)。 :終わり:
氏はこの時代から「単剤治療が理想であるとしている」と述べる。多剤になりやすい理由として多くの理由を挙げている。「*我が国では、東洋人の体質としてか、症状の訴えが多彩で身体化が著しい。*抗精神病薬には症状としての対応性が低い。現状では症状によって薬物選択が一義的に決定できるには程遠い」等々である。氏への紹介状には1枚の処方箋に書ききれないほどの処方薬が並ぶこともあり、長い間かけて整理をる。前述したとおり、定型向精神薬のみが処方されていた時代の状態である。また、急性期に強力に抗精神薬注射、内服を使うときに、特に若い患者には、脳代謝改善薬(例Lucidril)、向神経性ビタミンを併用した。cytochrome C、を使う医師もあったという。現在では非定型抗精神薬が使うことが出来て患者への侵襲性が軽減されている。定型も非定型の薬も使える現在、「ガイドライン2022」では単剤治療することが第一選択となっている。

2026/5/15

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか 6.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 

臨床医の眼差し 2022年より「薬物使用の原則概要」 1998年

項目14. 減量のペース
回復期の減量は1週間に20%ずつの減量ならば安全であり、不適当な減量であっても手遅れにならない。それ以上の急速減量は跳ね返り(リバウンド)現象を念頭におかなくてはならない。ハロペリドール(定型抗精神薬)とその副作用をおさえるビペリデン(抗パーキンソン剤)をともに減量する場合は
ピペリデンの血中濃度が早く消滅するため、ハロペリドールの効果が強くなり、アカシジアの悪化や雄熱性緊張病がありうる(ほぼ原文のまま)。:続く:



効果が不明、多剤、副作用発現などで減量や中止は治療中必須の対応である。離脱症状に注意する。「統合失調症の薬物ガイドライン2022」を参考にする。「安定期でも原則減量は推奨しないが、減量後はクロルプロマジン等価換算で200mg/日を超える程度であれば減量を考えても良い」等としている。クロルプロマジン等価換算が日本で確立したのは1999年頃とされる。この解説文が書かれた1998年頃では、換算は使用したかもしれないが浸透は不明である。1週に20%減量の説明が納得できる。氏は薬を、・少量を飲む、・必要時に飲む、・ベンゾジアゼピンや漢方薬など抗精神薬以外を緊急避難的に使うなどで、経過が安定したケースについて述べている。前述のガイドライン2022では、薬の続け方について、推奨ではないが服用方法について、①継続投与法、②投与間隔延長法、➂間欠投与法を説明している。薬を飲み続けたくない気持ちをもつ患者に配慮している。薬について苦労を重ねてきた先人の医師の積み重ねが生かされていると感じる。

2026/5/1

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか 5.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 臨床医の眼差し 2022年より
「薬物使用の原則概要」 1998


項目6.「陰性症状」への懐疑の必要。
「いわゆる陰性症状については医師はまず懐疑的ではならない。それは薬物原性ではないか、自己尊厳の破壊の産物ではないか、適応ではないか、防衛ではないか、医療行為に伴う外傷性障害(ある!)でPTSDの条件を満たしていないか。「慢性精神科医」の影響によるものではないか、不適当な処遇による疲労感ではないか。また私は陰性症状の少なくとも相当部分は中枢神経系の病的ホメオスタシスと身体の健康なホメオスタシスとの間のズレではないかと考えている」。(原文のまま)
                    :続く:


陰性症状は統合失調症の症状に含まれる。症状とは「意欲や興味が低下する.感情表出が低下し喜ばしい出来事にもつらい体験にも生き生きとした表情がみられなくなる.社会的交流への参加に興味を示さない」である。
 症状は治療開始後に出現することもあるし、治療を受けていなくても起こりうる。普通に生活できるが何らかの精神症状を持つ人は存在する。その場合には、家族内、学校、職場、他にも買い物をする、役所でなにかの手続きをするなど無数の社会生活の場面で侵害される体験をすると想像できる。
 症状が強い効果を持つ抗精神薬の対象とならないためには、(強い混乱状態の時期を除いて)、患者が医師に伝える勇気、また言葉にできる知識が必要である。

中井氏は患者が尊厳をもつ大切さを語る。「Adler,A.派の精神医学には患者に対して尊厳の念を持てない場合には治療してはいけないという考えがあると聞く中井 」(原文のまま)

2026/4/25

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか
 4.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 臨床医の眼差し 2022年

「薬物使用の原則概要」 1998

項目3.心理療法との関連
 心理療法の重要な目的は患者が薬物の作用に「賛成」することである。(「受容)ではない)。ケースワークの目的は患者」が安心して治れる条件の有無を調べ、それに持ってゆくことである。その際に、家族に薬物使用によって改善しうる患者あるいは患者候補の有無の発見をも心掛ける。このことは薬物量を大きく下げる。(原文のまま)

まとめてみると、心理療法の目的や期待する効果は、1.薬を飲むことに恐怖心をもつ患者に安心を与える。2.さらに家族の精神不安定に気づく。3.そしてそれらは内服する薬の量を減らすこととなる、と理解できる。    :続く:
 「内服を受容しています」という患者さんの言葉を聞くことがある。「賛成しています」といえる医療者と患者の治療関係が普通になるか。今でも課題である。 
薬物療法と社会心理的アプローチを併行することは1980年代からの流れとされる(白石)。ここでは心理療法の具体名はかかれていないが文中ではロールシャッハ法、箱庭療法、があり、さらに氏が開発した風景構成法があげられている。
 1950年代より、退院後家族の強い感情表出(高EEと言われる)は再発率を高めるとされた。氏は、家族が患者よりクレージーに見える時期や、感応性精神病状態にある時期に注意喚起している。家族へ休養を勧め、例として、時にクロクサゾラム(ベンゾジアゼピン系)2-6mg/日を内服する1-2週間の治療を勧めている。日本の家族会全国組織結成は1965年(白石)である。はじめは患者への処遇改善の要望することが目標であった。次第に家族の精神状態へ支援方法が取り上げられてきている。



2026/4/21

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか
 3.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 臨床医の眼差し 2022年
「薬物使用の原則概要」 1998

20項目のうち、検討してみたい5つを挙げる。1.急性分裂病の場合、3.心理療法との関連、6.「陰性症状」への懐疑の必要、14.減量のベース、19.漫然大量療法からの離脱。

1.急性分裂病の場合:身体の状態が「反撃の構え」(興奮攻撃が強い*―中医学での実証・熱証)であれば薬で大量圧倒を行う。「屈服の構え」(中医学での虚証・寒証)の場合は相手に「―これは最低量でありこれで鎮まればきみの病気は軽く、鎮まらなくても後にはいくらでも薬がある―」ことを告げる。急性期にはオキシペルチンの大量使用、米国、カナダの救急部門で使用されているトリフルオペラジンは試してよい治療。
フェノチアジン系、ブチロフェノン系の有効性がひくければ、オキシペルチン、トリフルオペラジン、プロクロルペラジン、が勧められる。(ほぼ原文のまま) :続く:
氏は処方薬について慎重であり常に患者に現れる影響に留意している。この文献の10年前、氏は統合失調症の治療について解説文を出している。常に患者の視点に立ち逡巡する気持ちがうかがえる。
 「患者は薬に対して「自分を変える物」という恐怖感を持ち、内服することを医師と患者の共同作業に持ってゆくためには精神療法が必要性である」
 「薬について良い説明をする、服薬後の変化について予言し、予想外の事態への対応を説明する」

 この時代に発売されていた薬は定型向精神薬であり、鎮静作用の効果も、ジストニーや振戦など副作用も強いものである。

薬物治療に苦しむ患者の存在は氏の治療方法の考え方の一部を作ったと想像する。
1950年代にクロルプロマジンの鎮静作用が精神治療に使われて以後、40年以上定型抗精神薬が使われてきた。1982年、最初の非定型薬 zotepine(ゾテピン)が発売開始された。1996年にリスペリドン(商品名リスパダール).
その後2000年代に入り非定型薬開発が盛んとなった。

2026/4/14

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか
 2.

中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集
 臨床医の眼差し 

「薬物使用の原則概要 特集 向精神薬の選択・変更・減量の実際 Ⅱ 分裂病圏」1998年

中井は薬物治療については生涯にわたり著し続けと考える。この文献は依頼原稿として医療者に向けて簡潔にまとめられ28年前の様子を伺える。5,000字程度の解説である。20項目の見出しからなる。1.急性分裂病の場合、2.回復過程、3.心理療法との関連、4.幻聴に対する態度、5.一般的(いっぱんてき)標的は不安と恐怖である、6.「陰性症状」への懐疑の必要、7.薬物への恐怖の理解、8.症状消失の空虚感への対処、9.リラックス感のアンヘドニア的感受としての「疲労感」、10.服薬感覚―それへのアレキシシミアの考慮-、11.薬物治療における見当外れ、12.薬圧の問題、 13.緊張病の迷形化、14.減量のベース、15.剤型の問題、16.再発予防の微量処方、17.処方時間と種類の問題、18.ニコチンのマイナス作用、19.漫然大量療法からの離脱、20.前医処方の尊重、以上。
*アンヘドニア=無快感症   *アレキシシミア=失感情症        :続く:

2026/4/8

高名な精神科医師はどのように
薬を治療に用いたか
 1.
中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集 臨床医の眼差し 
「薬物使用の原則概要 特集 向精神薬の選択・変更・減量の実際 Ⅱ 分裂病圏」
【背景】この文献は1998年のものである。統合失調症という病名に変更されたのは2002年8月であり、文中では分裂病という病名が使われている。しかし、中井は生涯をかけた研究で統合失調症は誰でもかかりうる病であり、また治療できる病であることを世に示した斎藤環。現在、統合失調症に対する認識は、その病状や経過は時代により変わってきている、と軽症化という言葉で説明される 松本雅彦
【参考】
中井久夫:「精神科治療学」掲載著作集.星和書店、東京,2022.
斎藤環: 集中講義 中井久夫 心の豊かさを読む. 別冊NHK100分de名著 NHK出版.東京,2025.
松本雅彦: 日本の精神医学この五十年. みすず書房,東京,
2015.
                           :続く:

2026/3/24

§:精神治療の薬について触れることはむづかしい。「内服継続が基本」~「自らあるいは家族の意思で薬をやめた人」までの二極の間に、複数を服用、減量や中止して再発、少量で安定、など様々な様相を呈する。治療中の人が「良い」と感じている状態が「良い」と見守ることが家族や関わる人の位置である。

 薬について体験、診療指針など多くの記事がある。その中で自分に適すると納得できる文があるかもしれない。分野を問わず目にしたものを書いてみる。

§: 自分の意思で治療をやめた人の体験
― 私が薬を飲んでいた当時、私がもっとも辛かったことは、薬を飲んだ自分自身の感覚を誰にも信じてもらえなくなってしまったことでした。たとえば私が、「薬をのむと呂律が回らなくなってじっとしていられない(だから薬をやめたい)と訴えても、私に薬をやめるという選択肢が提示されることはありませんでした。私がなにかを訴えるたびに、薬はふえたり、別の薬に置き替ったりしました。便秘やよだれ、足のむずむず、身体がうまく動かせないこと、物事をうまく考えられないこと、言葉をきちんと話せないことなど、薬の身体的な副作用もたくさん経験しました-。
 中略。-私はさまざまな幸運が重なって、今は自分を大切にしてくれる人たちと出会えました。今その人たちとともに、だんだんと自分の感覚と、相手のことを信じられるようになってきています。-

(感想) 書いた人は、自分への自信を持ち続け、もとに戻りたいという希求が強い。治療を受ける立場の患者に起きたことを理解した。副作用と自分の症状を区別して考えられた。以上、この人には能力の高さがある。加えてともに過ごせる人に支えられた。

 青少年期における精神障害に関する教育が始まった。治療を受けた時どのように自己を持ち続けられる強さを学ぶことを願う。

参考書:
J.モンクリフ: 石原孝二、松本葉子、村上純一、高木俊介、岡田愛訳.「精神科の薬に知っておいてほしいこと―作用の仕方と離脱症状」.第1版, 194-197. 日本評論社.東京, 2022
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2026/3/15

長野県で医療福祉制度が精神科入院にも適用された事と今後

 2026年度の県会議予算説明で福祉医療入院給付に精神科が追加された。この制度では、自身の保険でかかった医療費を支払い、自己負担分1-3割を公費負担する。食事代、日用生活サービスは自己負担である。助成の対象や要件は自治体毎に異なると思われ調整の方向を見守りたい。
因みに、松本市では精神保健福祉手帳1級判定には所得制限なく、2級判定では所得制限して助成される。日用品契約支払い等は自己負担、身体障害および知的障害で入院の人には食費の1/2が負担されてきている。

 1950(S25)年に精神衛生法が公布施行された。精神の疾患を持つと診断されれば、自宅での養護や監置はせず入院が必要となった。1960年までに精神科病院は急増、30万床を超す。ただし、増床の目的には戦後、急増していた覚せい剤、麻薬、アヘン等の中毒患者への対応も含まれたとされる。

 強制的入院では医療費は国負担となった。その他で入院すれば収入を得る機会を閉ざされ、障害年金は入院費支払いに当てられ、家族は支払い続けて75年がたった。精神疾患を持つ当事者・家族には重い経済負担から抜け出せない構造が出来上がったと予測される。一方、病院は社会にいられなくなった患者さんにとってこの上なく安全な居場所
あり、長く入院し静かに一生を終えた方もあろう。精神保健福祉士が制度となったのは1997年、それまでは限られた数の専門職が福祉的に働く。現在のような地域での支援を展開することは不可能である。病院という場を社会復帰のためによりよく利用する方法も考えられたはずである。その頃から現在にいたるまで、虐待、殺人、搾取、過量薬物、過剰診療、不正請求等々の病院が生まれてきた。単に一部の医療者の問題だけではなく許してきた社会の問題でもあると自らを戒める。

 この度、県制度になったことで独自に助成してきた自治体には県から支出の1/2の補助が得られことになり程度は様々であろうが喜ばしい。

 活動は経済的困窮から抜けることが一つの目標であった。早期の治療開始は精神疾患を重症化させないといわれる。福祉医療にかかる費用は有効に利用しなければならない。最近は地域活性が各自治体の目標になっている。我々、関わる人として、皆が他と接点を持ち、少額でも消費して経済活動を行い、社会参加の誇りを持てる支援の視点が必要である。ただし、病状が安定していないときには自身の治療を優先させることはもちろんである。

 2024年6月調査、精神病床に入院している人は25万525名、うち統合失調症・統合失調症型障害および妄想性障害で入院している人は12万2046名で、5年以上入院している人は5万4274名である。

参考資料
ReMHRAD 630調査.令和6年6月.主診断×在院期間.
精神保健福祉研究会監修:精神保健福祉士法詳解,五訂.中央法規出版,東京,2024.

令和6年6月全国精神病床入院(主診断・在院期間)
   ReMHRAD 630調査参考
主診断/入院期間総数
(名)
1月未満1月以上
3月未満
3月以上6月未満6月以上1年未満1年以上 5年未満5年以上10年未満10年以上不明
精神科病床入院者数250,52531,85019,59024,50375,77633,39623,67616,6149
統合失調症及び統合失調型障害及び妄想性障害122,0467,82412,2026,5308,92034,29118,80214,2830

2026/2/24

2026年より福祉医療入院費助成が精神疾患入院にも拡大される

松本市では2026年度予算で精神障害者の入院費助成が決まった。会の代表と有志が訪問、請願を受理した議員からメールにて連絡いただいた。関わった人々の尽力に感謝したい。対象は、1級所得制限なし、2級は所得制限ありである。
 長野市でも、2月の市長から当初予算案説明のなかで、福祉医療の入院費助成に精神障害者が加わることが述べられた。8月より実施との説明であった。
 2026年度中に全市町村で実施され地域格差

解消される。ただし、日用品サービスや食事代は自己負担となる。
長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動】の今後は代表や事務局の意向に沿う。

2026/1/25

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動】
精神障がい者の福祉医療を実現する長野県民会議 (通称:県民会議) 
―県議会回答から制度実施が視野に入った事を受けてー


2024年初め、県議会に提出された陳情「精神障がい者の福祉医療費給付事業における県補助の対象範囲拡大について」は2025年12月に県議会で採択と決定された。今後はどのように検討されて行くか注視される。懸念する事は、請願活動にもかかわらず、県の決定で精神障害者保健福祉1級のみ対象と決められた高知県(2025年)や富山県(2019年)の例1)である。精神障害をもつ人の入院費自己負担分が助成されれば、経済的負担は一定程度軽減される。次の方向として、家族やご本人が社会経済に参加する自尊心の醸成を助けることは、精神医療福祉の関係者に望めるものであろうか。
医療費助成以前にある問題として、受けられる医療に差があることを認識する必要がある。身体障害、知的障害のある人は一般医療病棟にて治療をうけることに対し精神障害では、医師、看護師の配置基準が一般病棟の1/3に設定されている精神科病棟に入院する。時には身体疾患でも精神科病棟に受けざるを得ないこともある。

参考:
1)特集・医療費助成推進プロジェクトのとりくみ. みんなねっと2025年11月号
‘みんなねっと’ によると、身体障害、知的障害と同じ程度の制度になっているのは、山梨県、岐阜県、愛知県、奈良県、の4県である

2026/1/11

【長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動】
ー県議会回答から制度実施が視野に入った事を受けてー

県が決定する助成範囲が注目される。山梨県、岐阜県、愛知県、奈良県では、精神障害者保健福祉手帳1級、2級を助成対象としている。うち所得制限がないのは奈良県のみである。重症度については、”身体障害、知的障害の程度と合わせる”が行政のキーワードとなっているようである。助成範囲、人口、県民一人当たりの所得などの県の規模を比較すると長野県は岐阜県に似る。長野県でも1級2級を助成範囲とできないか。

2025/12/29

【長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動】
ー県議会回答から制度実施が視野に入った事を受けてー:大町市のこと

新しく制度を開始する場合、”精神障害者保健福祉手帳1級”に限ることは、“支出を抑える目的で“ と理由に納得ができる。では、2級まで対象にしている自治体の対応には、なぜ? と思う。

1)大町市では独自制度として
福祉医療を実施

大町市では1級、2級、所得制限なし、として福祉医療制度を行っている1)。制度開始の時期については手短かな検索では情報が得られなかった。長野県では1971年に重症心身障害者医療費助成制度を開始、以後対象を広げてきたとされる。国では1973年(S48)から1982年(S57)まで70歳以上高齢者医療費の自己負担額3割を無料とした時代があった。昭和40年代後半この時期に障害者や母子家庭への助成が広がったのではないかと推測される。

 大町市は、歴史、文化、自然において計り知れない深さ重さがあり他県出身の自分には語ることはできない。人口24,000余、面積の広さは長野県5番目で約565平方キロメートル、財政的には、2005年の中心市街地の火災など困難がありそうにも見える。しかし、2024年には3年に1度の北アルプス国際芸術祭、8月には鹿島槍ヶ岳山麓で12年に1度開かれる国際的なカウンターカルチャーといわれる分野の文化祭 ‘いのちの祭り‘ が行われた。毎年8月には信濃木崎夏季大学が開かれ国内、国際的にダイナミックな交流を行っている。

2)大町市で行われている医療費助成の背景を見る

公表されている資料の数値を記載した。
Ⅰ. 精神障害者保健福祉手帳取得状況

大町市:1級-216名、2級-132名、3級 -15名
参考:①長野県全体では取得状況:
1級 -6,398名、2級- 6,239名、
3級 -1,031名.2) (R4)
②長野県制度で他の二つの障害の福祉医療の対象
範囲: 身体障がい者手帳1,2,3級所持. 
療育手帳A1、A2、B1を所持.
大町市制度での福祉医療対象:身体障害者手帳1~4級.
療育手帳A1,A2,B1,B2. 市では他の2障害の範囲も広く重度から中等度と精神障害者の等級に適合させている。

Ⅱ. 財政:大町市R4年度の歳出市予算:177億470万 
民生費:45億730万(市歳出の25.8%)
福祉医療給付費:2億270万(民生費の5%)
経済構造では第3次産業への従事が72%、地域経済は停滞傾向と認識されているようである4)

Ⅲ. 障害別福祉医療費支給額
心身障害者: 1億200万円

(負担県:市=1:1)    
精神障害者: 2千200万円(全額市負担)
   以上資料3)

福祉への認識
社会福祉事業概要や地域福祉計画(令和4-8年)にみられる言葉

「障がい者に対する福祉は、障がいのある方も障がいのない方も同じ地域社会で共に暮らしていくというノーマライゼーションの理念、と障害があっても地域で地域の資源を利用し,市民が包み込んだ共生社会を目指すというインクルージョンの理念を目指しています 」「このたび策定しました「第4次地域福祉計画」では、「参加と支え合いで築く、みんなが元気で共に暮らす笑顔に満ちたまち」を目指すべき将来像に掲げ、「地域で共に生き、力をあわせること:共生・協働の原則」、「安全で快適な地域環境が保たれること:安全・快適の原則」、「健康でしあわせな暮らしをまもること:健康・安心の原則」という3つの原則を理念とする」など声を上げられない人々を支える意思がある。

以上を総合して: 大町市が精神障害者の医療について、精神保健手帳1級、2級を対象に所得制限なく助成を続けている背景を推測する。
地域財政は、豊かとはいえない。これは大町市にかぎらず自治体の共通の課題と思われる。さらに財政への不安感がある。それ故、地域住民の経済的格差が生じないようにする認識があると推測する。さらに、助成している精神障害者の数は財政で調整可能な範囲であることと考える。

参考資料:
1) 長野県障がい者医療費給付事業の市町村実施状況(令和7年8月) 
2) 令和4年版長野県衛生年報
3) 社会福祉概要 令和5年度版 
大町市社会福祉協議会
4) 第4次大町市地域福祉計画令和4(2022)~令和8(2026) 
令和4年3月長野県

追記:報道された雇用危機の問題
12月24日イブニング信毎
旧昭和電⼯傘下で、鉄スクラップを溶かす電炉で使う⿊鉛電極を製造するレゾナック・グラファイト・ジャパン(⼤町市)で明らかになった100⼈規模の配置転換。市内で最⼤規模の従業員数を誇り、⻑年にわたって地域経済を⽀えてきただけに影響は少なくないとみられる。
12月26日信濃毎日大町記事
⼤町市市⻑は26⽇の定例記者会⾒で「離職を選ぶ⼈がいるとすれば、公共職業安定所などと協⼒しながらきちんと対応していく」と述べた。

感想:大町市は山岳都市である。国全体の、森林、水源の涵養など自然環境の保護の役割を担っている。観光やスポーツ、登山用製品等に関わる消費などの経済的役割も大きい。1県民として市は経済的には困難な状況に見える。県として地域財政へ配慮を願う。精神障害者への福祉医療が県の制度となれば経済的負担がある程度軽減される。それまで現状を維持するよう応援したい。

2025/12/23

「長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大することを願う活動」
―2025年11月、県議会回答から、制度実施が視野に入ったことを受けて―諏訪郡原村のこと

新たに制度を開始する場合、対象を「精神保健福祉手帳1級に限る」とする判断については、「支出を抑える目的である」という説明があれば、一定の理解はできる。
しかし一方で、2級までを対象としている自治体が実際に存在することを考えると、「なぜ可能なのか」と考える。

県内では1級2級を対象とし、所得制限なしで入院助成を行っている市町村がある1)。その一つの諏訪郡原村を見る。
原村では、精神障害者保健福祉手帳の1級・2級を対象とし、所得制限も設けない医療費助成制度が実施されている。

原村は、八ヶ岳連峰の赤岳・阿弥陀岳の山頂付近から楔(くさび)状に裾野が広がる地域に位置し、標高900~1,200メートルの高原に広がる村である。人口は約8,000人余り。高原野菜の生産や観光資源に恵まれ、中央自動車道やJR中央東線を通じて関東圏からのアクセスも良好である。

では、なぜ原村では2級までを対象とする制度が可能なのか。
この点について、自分は少なくとも次の三つの要素が関係していると考えている。

第一に、財政的要素である。
自治体の規模、人口、対象者数などを踏まえたうえで、制度を維持できると判断できる財政構造があるかどうか。もとより自分の住む地域が財政困難に陥ることを望む住民はいない。

第二に、福祉に対する思想・認識である。
「地域に暮らす住民を守ることは自治体の責務である」という意識が、政策判断の基盤として共有されているかどうか。

そして第三に、数値や制度設計だけでは説明しきれない、地域の機運や雰囲気といった要素も無視できない。

原村では、精神障害者2級への医療費助成は**平成8年4月(1996年)**に開始されている2)。
当時は、1986年頃から続いたバブル経済がすでに崩壊し、経済状況が特別に好調だったとは言いがたい時期である。それでも制度が実施された背景には、村内での財政調整や、福祉を重視する判断があったものと推察される。

福祉に対する認識という点で注目されるのが、市町村合併をめぐる原村の姿勢である。
原村は東に富士見町、西に茅野市に囲まれており、平成14年(2002年)頃から、いわゆる「平成の大合併」の流れの中で、諏訪圏内6市町村の合併問題が議論されていた。

2008年の村誌には、次のような記述がある。

「本村を除く5市町村の大勢は合併推進でしたが、本村の民意は懐疑的でした。それは多分に、後発集落時代の独立団結心もあったでしょうが、突出した本村の福祉後退が明らかであったことも預かったものと思われます」3)
この一文は、原村が自治体としての自立性と福祉水準の維持を重視してきた姿勢を示しているように思われる。

精神疾患を福祉医療制度の対象に含めるかどうかは、単なる財政問題ではなく、自治体が「誰を、どこまで守るのか」という価値判断も大きな要素となる。原村では判断が現実の制度として結実した一つの具体例として、今後の議論に重要な示唆を与える。

参考資料
1) 長野県障がい者医療給付事業の市町村

実施状況 R7年8月.
2) 原村医療費特別給付金制度の経過
3) 長野県原村2563号(2008年)6月12日

村長 清水澄

2025/12/15

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動

新聞記事から、議会での議員の質問に県知事が、「精神障害がある人の入院費助成の制度を来年度制度化できるよう検討する」との回答があった(2025年12月3日信濃毎日新聞記事、県会一般質問)。県民会は、助成の範囲、対象がどのようになるかが注目することになる。精神保健福祉手帳を所持する1,2級への入院費助成を求めている。県では77市町村中40市町村ですでに市町村独自で1級または1,2級一部3級まで制度実施している。2級、(一部1級にも)の入院費助成については様々な要件が定められている。例えば、本人または扶養義務者の、所得制限なしから所得税非課税、市町村税非課税、特別障害者手当準拠、精神科入院のみ対象、等々である(障害者医療給付事業の市町村実施状況、長野県.令和7年8月1日)。これらを調整して県としての制度はどのようになるか。運動が目標とするところは、1級、2級に所得制限なく、精神科および身体科への入院助成、である。
参考:精神障がい者の福祉医療を実現する長野県民会議 (略称:県民会議) ホームページURL
 
https://kenminkaigi7.wixsite.com/nagano精神障がい者の福祉医療を実現する長野県民会議 (略称:県民会議)

2025/12/4

長野県の精神通院費公費負担支出は統計資料によるとおよそ年間13億円、R5年歳出1兆1千万円の0.12%、民生費1360億円の1%となる。精神科医療費が県の財政を圧迫していると説明しているが疑問を持つ。表は、全国の精神通院費の年間公費負担額として公表されている数値。長野県の活動の参考に参加した奈良県、愛知県と人口が長野県と近い県、県民当たり所得が最高の東京、最低の沖縄県の数値を並べてみた。

人口(人)
R6年 
精神通院費公費負担額総額
R4年(県負担≒1/2)
県民一人当たり所得
県入院費助制度の有無
R7年
長野県198万7千 26億9258万5千円
(13億5千万円)
277万8千円 無/市町村毎1-2級
岐阜県191万6千17億1608万8千円287万5千円あり1級,2級
群馬県189万千20億6292万9千円293万7千円無し
栃木県188万5千28億8406万9千円313万2千円無/市町村独自1級
高知県65万6千17億1474万9千円249万1千円予定1級2027年~
愛知県746万千71億8129万8千円342万8千円無/市町村毎にあり
奈良県128万5千17億11万4千円251万1千円あり/等級は市町村毎
東京都1億4178千287億5046万円521万4千円あり1級
沖縄県146万6千58億741万6千円216万7千円無し
厚労省R4
障害福祉サービス利用状況より


2025/11/29

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動
―高知県の制度について朝日新聞で
とりあげられる-

精神障害者も医療費助成の対象に、
2027年度から高知県方針
   朝日新聞2025年11月28日

関心を持っている全国紙がある。ただし
報告の域内であり社としての見解を述べたものではない。
県障害保健支援課は対象を1級に限った理由として、重度の人が対象、身体障害や知的障害の対象者とのバランスを考えたとする。
高知県土佐町では、町独自で重症心身障害者・児医療費助成制度に精神障害者1,2級を加えている。

感想:身体、知的障害への医療費助成の
継続は重要である。精神障害がある場合、法的には身体科病棟に入院可能であるが、実際には多くは精神科病棟入院になる。身体科疾患で入院でも医療費助成は無い。ただし対応には自治体毎に差があり複雑である。

【JAMHSW】構成員メールマガジン Vol.462(2025.11.28)報道関係情報

2025/11/25

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動
―高知県の重症心身障害児・者医療費助成制度-

RKC高知放送11/17

高知県では重症心身障害児・者医療助成制度がある。
精神障害者へは実施が無く家族会などから希望が出ていた。

11月17日、自治体関係者、有識者、当事者の家族が集まる会議で県の方針が示された。

内容は:
「精神障害1級および、2級で18歳未満で知的、身体的障害を合併がある人、に医療費助成を行う」「2027年から開始」というものである。

これに対し、家族会では、一歩前進であるが、要望とかけ離れており制度の見直しをもとめている。
県の方針では、成人の2級障害では助成を受けられない。障害の重さだけでなく、社会生活の視点で見て欲しいとしている。
高知県内の精神保健福祉手帳取得は
8,038人、1級は575人、2級は5,745人。

感想:長野県も1級、2級への制度拡大を求めている。社会参加をしながら、再発、入院の変化が多い2級への助成は必須と考える。

【JAMHSW】構成員メールマガジン Vol.461(2025.11.21)報道関係情報





2025/11/23

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動
― 実情は理解していますが予算がありません― 
―治療に対して患者が自己負担として医療機関に
支払うお金について・入院編―

令和4年版長野県衛生年報 入院精神障害者数 医療費別

月々の治療費全額の3割を自己負担として支払う。食費や、日用品セットサービスも自己負担である。

表は長野県の精神病棟入院患者数と健康保険の状況である。(ただし1年間の総入院日数は出せていない)。表からは3,793人のうち、その他と生活保護受給者を除く3,411名は保険診療を受けている。精神保健福祉法入院とは措置入院を指していると思われるが、保険診療の自己負担分3割は公費負担である。比較的短期で任意や医療保護入院に変更され保険診療となる。 入院医療費支払いは身体疾患での入院と同じで、県の負担は8-10%である。精神医療にお金がかかっているという回答の理由は、その入院の長さであろうか。

*:文の内容に確たる自信がないのでこの分野の仕事に関わる公務員方々と話し合いたい、とかないそうも無い希望を持っている。

2025/11/20

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大することを願う活動
―医療費(保険診療、公費医療)の出どころの衛生費や民生費は増加の一方
をたどっているか―

10年間の目的別歳出の推移

民生費、衛生費の著しい増加はみられない。国の医療費の増加は明らかにされているので、県でも増加があるはずであるがグラフ上では明らかでない。
増加が大きい項目は商工費である。これは税収につながると期待できる。

医療費の負担
保険5割
国負担4割うち県8-10%、
患者3割。


グラフに表示されている内容

年度:平成25年度(2013年)〜令和5年度(2023年)
の経年変化
項目分類:民生費、教育費、公債費、総務費、土木費、農林水産業費、商工費、保健医療費、警察費、その他衛生費含む
単位:億円(約1兆2千億円)

2025/11/15

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大することを願う活動
  ー病院への支払いに話を絞るー

左のグラフは
長野県令和5年度の目的別歳出

精神科含め医療全体、保険診療や公費医療の支払いは民生費と衛生費から支出される?。
(その他からの支出あれば詳細は不明)

令和5年度
長野県決算説明諸資料より

2025/11/11

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動
― 実情は理解していますが予算がありません― 

問Ⅱ:精神医療に関わる支出は自治体の財政負担となっているとの回答であるが、県予算は1兆3千億。精神医療に関わる費用は具体的にいくらか。

AI回答:精神医療に関わる費用は、医療保険制度や公費負担制度など複数の財源で賄われており、自治体(都道府県や市町村)はその一部を負担しています。自治体の正確な負担額を特定することは困難ですが、以下のような制度に基づいて支出が発生しています。

自立支援医療(精神通院医療)制度: 通院による精神医療を続ける必要がある方の医療費自己負担を軽減するための公費負担医療制度です。医療費の原則1割を利用者が負担し、残りの費用は公費と医療保険で賄われます。この公費負担の一部を自治体が担います。

精神科救急医療システム: 都道府県が主体となって運営する精神科救急医療の提供体制にかかる費用などが含まれます。

その他の関連事業: 精神保健福祉センターの運営、相談支援、普及啓発、地域移行・地域定着支援など、精神保健福祉に関する多様な事業の費用が含まれます。

これらの費用は、各都道府県の障害者福祉予算や保健衛生予算などに計上されます。ご質問の長野県の県予算1兆3千億円のうち、精神医療に直接関連する具体的な予算額を一つの数値として示すのは難しいですが、一般的に、精神科医療費の総額は増加傾向にあります。

もし、長野県における精神医療関連の具体的な予算額を知りたい場合は、長野県の公式ウェブサイトで公開されている**「長野県予算書」「長野県決算書」「長野県障害者福祉計画」**などの最新情報を確認するか、長野県の担当部署(保健福祉部など)に直接問い合わせることで、より詳細な内訳や概算値を得られる可能性があります。

利用したAI:Google検索

AI回答を読んで考える事: 活動の対象の福祉医療とは健康保険を優先させるものである。精神疾患患者と病院間の医療費は(例外があるかもしれないが)、精神通院医療費と入院費の二つである。精神医療に関わる費用が財政圧迫をしている、予算が無い、の理由には福祉関連、病院整備、等々含まれる。メンタル不調に苦しむ人々に対応することは、現代の一般的な社会課題であり、精神医療への財政が過大という理由にしてよいものであろうか。

2025/11/9

長野県の福祉医療制度を精神疾患に拡大する事を願う活動
― 実情は理解していますが予算がありません― 

前進するためには行政も住民も考えなければならない。当活動では、精神医療が含む問題を考えることや、新規に発症する児童や青壮年期患者と家族を経済的に救済すること、も含む。活動の過程で請願側と公務員および議員との話し合いが望まれるが、実現困難なようである。 AIと話し合ってみる。AIは、間違うことがある、等の注意喚起には考慮する。

問Ⅰ: 地方自治体においては精神疾患に関わる医療費が多額であるとの共通の認識があるか。

AI回答の要旨: 多くの地方自治体では、精神疾患関連の医療費が財政的に大きな要素であるとの認識が共有されている。これは主に、自立支援医療(精神通院医療)制度における公費負担分が、国と都道府県・政令指定都市で原則1/2ずつ負担(さらに市町村が独自の助成を行う場合もある)という財政構造に起因する。
精神科の長期入院への高額な医療費負担は、自治体の一般会計にも影響を与えるため、財政担当部局や保健福祉部局の間では重要な課題として認識されている。厚生労働省の資料や自治体の予算審査資料などでも、精神保健医療に係る費用や公費負担医療の利用者負担の見直しなどが議論されている。

使用AI= Google 検索

2025/11/3

長野県福祉医療制度と精神疾患に関わる医療費

「市民の理解が得られない」 という言葉も聞く。

地域の住民だけで支える福祉医療制度を使用すると、住民の負担が重くなるのよ。そうするとね、今の福祉医療制度を続けることが難しくなって、制度を見直しすることになったり、廃止になってしまうかもしれないのよ。


上記は、H県K市の市民向けパンフレット記事です。県や市町村が独自で行う福祉医療制度は住民の税金で賄われることへの啓蒙である。

H県では精神障害者への福祉医療は身体疾患入院のみ助成。K市では精神保健福祉手帳、1,2級所持者に付帯事項があるが入院費助成を行う。身体疾患のみという制限は無い。

2025/11/1

長野県福祉医療制度と精神疾患に関わる医療費
若い人々の治療と経済を助けるか 協会けんぽ資料より

医療費を疾病と年齢で見た場合、
精神および行動の障害は10歳から39歳で割合が高くなっている。福祉医療費入院費助成を精神疾患に拡充することは、小児期から現役世代の患者および家族への経済的支援をすることになるか。

長野県の1人当たり1年間の医療費(協会けんぽ分)(2022年)
入院: 5,0246円
入院外:119,044円
精神および行動の障害にかかわる
医療費 全体の4.4%
     
(参考:全国健康保険協会長野
支部、医療費分析.令和4年度医療費・健診結果.R6年3月発表)


医療費構成 疾病 年齢階級

注:資料は協会けんぽ資料。対象はR4年4月~R5年3月間。
金額はレセプト請求額。
長野県協会けんぽ加入者
加入者総数: 3,959万8千人
被保険者数: 2,555万6千人
被扶養者数: 1,404万2千人


2025/10/29

長野県福祉医療制度と精神疾患に関わる
医療費

長野県では下記の状態にある人に医療費助成を行っている。

子ども(0歳~18歳)
ひとり親家庭の親、子
身体障がい者手帳1、2、3級を所持する方
療育手帳A1、A2、B1を所持する方
精神障がい者保健福祉手帳1、2級を所持する方


一定の所得がある場合は対象外となることもある。助成は、雇用保険、国民保健、後期高齢者保険などで支払い後の自己負担額である(と解釈)。上記のうち、精神障害者だけ身体疾患に対しても精神科入院に対しても助成が無い。助成の請願には、「お困りの実情は良くわかりますが、予算がありません」との行政側の回答で前進しない。実施した場合どのくらいの予算がかかるのか、経済的に救われる家族があれば地域経済にどのように貢献するかも明らかでない。この制度を実施している市町村がある。県からの助成がないため市町村独自の出費である。制度実施するしない、の違いは何かも明確でない。
「予算」という言葉の前に、精神医療を入院中心に行ってきた国の施策を議論する余地が無い。


2025年10月24日信毎
長野県26年度予算

福祉医療費は義務費歳出のうちの扶助費に含まれる。

「県予算の扶助費とは、生活困窮者、高齢者、児童、障害者などを支援するために使われる経費**のことで、社会保障制度の一環です。具体的な例としては、生活保護費、医療や介護の援助、児童手当、就学援助などが含まれます」AI概略







2025/10/27

薬物療法の終結を語ることについて
― 自身の体験を述べる ―

イギリスの精神医学者、モンクリフの本、「精神科の薬について知っておいて欲しいこと」の共同訳者の一人である薬剤師Mさんの文です。経過は「10歳代に統合失調症で内服、医師にも相談できず数年でみずから中止して以後、解りあえる人々を得て、精神医療から離れて生活している」です。

Mさんの体験、原文のまま。

 ― 私が薬を飲んでいた当時、私がもっとも辛かったことは、薬を飲んだ自分自身の感覚を誰にも信じてもらえなくなってしまったことでした。たとえば私が、「薬をのむと呂律が回らなくなってじっとしていられない(だから薬をやめたい)と訴えても、私に薬をやめるという選択肢が提示されることはありませんでした。私がなにかを訴えるたびに、薬はふえたり、別の薬に置き替ったりしました。便秘やよだれ、足のむずむず、身体がうまく動かせないこと、物事をうまく考えられないこと、言葉をきちんと話せないことなど、薬の身体的な副作用もたくさん経験しました-。

その後も「病気」というフィルターを通してみられた体験から、自分がありのままでいることを表現する不安や自分の感覚を信じられなず孤独な気持ちを抱えました。読者へのメッセージとして、当事者が薬をやめていきたいと考えた時、イギリスのように、助けとなる自助グループや専門機関が出来てゆくことを願っています。

読後に: 

薬を減量したりやめることを勧める書き込みではありません。薬が自分にとって必要と感じている時には自分の生き方が幸せであるように考えるべきです。

この本の推薦のことばから引用:

薬物作用に焦点をあてた考え方をすることで、薬物療法の長所と短所をクライアントと検討する共同作業の場が開かれます。薬が「脳内の科学的不均衡を修正する」などという漠然とした考えのために、クライアントが幸福をあきらめることなく、自分の人生の舵をきれるようになるのです。カリ・ヴァンベルタネン(フィンランド、精神科医)

引用文献:

J.モンクリフ: 石原孝二、松本葉子、村上純一、高木俊介、岡田愛訳.「精神科の薬に知っておいてほしいこと―作用の仕方と離脱症状」.第1版, 194-197. 日本評論社.東京, 2022.

 


2025/9/17

精神科薬物療法の「終結」を語ることについて

紹介文献:

渡辺博幸「精神科薬物療法のアウトカムとエンドポイント」『精神医学―特集 精神医療は何をめざすのか―』67巻7号, p984-989, 2025年

本稿で取り上げられているのは、統合失調症、うつ病、双極症といった長期にわたり経過をたどりやすい精神疾患です。薬による治療は、急性期・回復期・維持期に分けて考えられますが、特に維持期では「当事者の幸福にどう寄与できるか」という視点が重視されています。

治療経過をふり返る際の目標として、著者は「薬剤の整理」「用量の減量」「可能であれば薬物療法の終結」を挙げています。また、服薬に関して本人の自己裁量を取り入れることの重要性にも触れています。

読後の感想:

私自身、精神科の薬をやめてあたりまえに社会生活を送っている人と数多く出会ってきました。しかし、これまで「薬をやめること」は公的な場で語られるのをどこかタブー視されてきたように思います。

今回の論考で「薬による治療を終える」という選択が明確に提示されたことは、今後、多くの患者さんや家族にとって大きな意味を持つでしょう。それは、薬を使い続けることだけが治療のゴールではなく、「やめること」もまた治療の一つのかたちとして知識に組み込まれていく過程なのだと思います。